授業概要 |
近代短歌史上の巨人とも評される斎藤茂吉の生涯を、国民の創成?古典の発明という視点からたどり直す。茂吉 の歌業は「万葉の伝統に近代の精神を盛った」と概括されることが多い。「伝統」なるものの正体を見誤ったところから来るこの偏見を斥けつつ、茂吉像の一新を図りたい。 |
課題?評価 |
成績評価は定期試験と1~2回の小レポートで行なう予定。受講生の人数が少ない場合には試験をレポートに切り換えるかもしれない。 |
テキスト |
「私選茂吉秀歌」(約500首)を印刷配布する。 |
参考文献 |
品田悦一『万葉集の発明 国民国家と文化装置としての古典』(新曜社)。他は随時紹介する。 |
受講生への要望 |
「死にたまふ母」その他について過去に教科書で習った知識を、いったんご破算にして臨んで欲しい。 |
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授業計画 |
(1)導入。『万葉集』の近代と茂吉の経歴。 (2)子規の系譜―左千夫?赤彦?茂吉?文明。 (3)アララギ内紛と万葉離れ―明治末期における転機。 (4)『赤光』の方法―「万葉調」の詩的効果。 (5)アララギの全国制覇と大正期の茂吉―『赤光』の行 き詰まりと沈滞。 (6)国民歌人の誕生―昭和初期の万葉ブームとアララギ 総帥としての茂吉。 (7)稀代の奇書『柿本人麿』。 (8)『万葉集』の戦中と戦後―『万葉秀歌』はいかにし て名著となったか。 (9)まとめ。 |
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